2019.02.13

中小企業と支援についての簡単な話

こんにちは。司法書士法人石川和司事務所の伊勢と申します。

私は昨年8月よりこの事務所にて司法書士業務のサポートをさせていただいておりますが、その業務はとても中小企業の業種・分野や活動を知る貴重な体験をさせていただいております。

 

 さて、今回は中小企業について簡単なお話をさせていただきたいと思います。

皆さんは中小企業という言葉を聞いて、どのようなイメージを浮かべるでしょうか。

 よく耳にするのは、どうしても大企業と対比されてしまうせいで、零細や弱者というマイナスのイメージが取り付いているように思われます。確かに一昔前の中小企業基本法においては、中小企業は零細過多であり、画一的に弱者であるという認識像を前提に、大企業と中小企業の「格差是正」を理念におき、環境改善を中心とした支援政策が置かれていました。

 

しかし、1999年に中小企業基本法が改正され、この認識は大きく変化することになり、改正された中小企業基本法では、中小企業像を「我が国経済の活力の源泉」として認識するようになりました。

少々古めのデータとはなりますが、実際に、2014年の中小企業白書に掲載されたデータによると、中小企業は全企業数の99.7%を占め、常時雇用者数の67.4%が中小企業で働いているという統計があり、企業の大多数を占めています。

また、それまで画一的に弱者と認識されていた中小企業ですが、改正によりその多様性が考慮され、支援における基本理念が「独立した中小企業の多様で活力ある成長発展」であるとされたのも大きな変化です。政策もより前向きなものとなり、創業・経営革新・新連携、経営の高度化または商店街や地域産業の活性化などに関する支援政策が増加しました。

わかりやすい一例を挙げると、創業に関する支援政策の一つである「新創業融資制度」は、事業計画(ビジネスプラン)を審査の中心対象としており、原則として無担保・無保証人で、3000万円を限度額とした貸付を行っており、創業による経済の発展を促す目的の支援となっています。もちろん経営環境の改善と環境変化への適応の円滑化も実施されており、独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法に基づいた取引の適正化、事業承継などの問題にも対応しています。

 

ところで、企業というのは、ビジネスモデル、経営戦略、企業文化、組織構造、事業分野または創業年数等々を複合した総合的な視点で見ると、それこそ個人と同じように、全く同一の会社というものは存在しません。また企業の成長フェーズによっても現在抱えている課題は異なります。

 

では、中小企業基本法の基本理念である「独立した中小企業の多様で活力ある成長発展」にはどのように対応しているのでしょうか。

例えば、国において中小企業の抱える問題を解決するためにワンストップサービス化が進むようになり、現在では中小企業基盤整備機構や都道府県等中小企業支援センターなどの支援機関が多数存在し、中には無料相談を受け付けている機関もあります。また「J-Net21」のように分野別の創業方法や優良企業の事例集をウェブ上で情報発信する他、事業計画の作成を簡易化するアプリケーションを公開するなど、便利なツールを提供しています。

 

また、それまで「国が民を教え導く」体制であった構造を見直し、登録された実践経験豊富な民間アドバイザーを企業や商店街に派遣するという事業を行っており、例えば中小企業基盤整備機構においては、各分野に精通した専門アドバイザーを4000名程度抱え、様々な分野や課題を持つ企業に対応できる体制を構築しているのが特徴です。

 

このように支援としての中小企業支援は、現在ではより利用しやすく、多くのニーズに応えて、企業が利用しやすくなるよう発展を続けていますが、まだまだこうした支援の認知度が足りないというのが個人的な見解でもあります。

ここまで読んでいただいた方は、これを機に中小企業支援についてより深く知っていただけましたら幸いです。

 

司法書士法人石川和司事務所

伊勢 泰人

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