2015.10.10
非居住者から不動産を購入した買主の源泉徴収義務

いつも大変お世話になっております。
石川事務所の坂本翔一郎です。
「非居住者から不動産を購入した買主の源泉徴収義務」についてお話したいと思います。
知らないと紛争問題になってしまう可能性もありますので、ご存知でない方はぜひ一読頂ければと思います。
①概要
非居住者である売主から不動産を購入した場合、その買主は売主が支払うべき所得税を源泉徴収する必要があります。
つまり、売主に売買代金を支払う際には、源泉徴収額を差し引いた金額を売買代金として支払うことになります。
②非居住者とは
では、非居住者とは?といいますと、「日本に住んでいない者」のことをいいます。
その不動産に住んでいるか住んでいないかではなく、日本に住んでいるか住んでいないかという意味になります。
具体的な該当者は以下のとおりとなります。
<非居住者に該当する者>
・日本人(海外居住が1年以上)
・外国人(海外居住 又は 日本居住が1年未満)
・外国法人(日本に登記がない会社)
<非居住者に該当しない者>
・日本人(日本居住 又は 海外居住が1年未満)
・外国人(日本居住が1年以上)
・外国法人(日本に登記がある会社)
ポイントとしては、売主が日本人(日本国籍)であっても、海外居住が1年以上の方であれば源泉徴収が義務が発生してしまう点です。
相手方が日本人であるからといって、安心はできないです。
③買主の対象者
次に、買主が誰であっても源泉徴収をする必要があるのか?という点ですが、必ずしもそういうわけではありません。
対象となる買主は以下のとおりです。
<買主が個人の場合>
自己又は親族の居住用として購入する場合で、その売買価格が1億円以下の場合は、源泉徴収が不要となります。
それ以外は源泉徴収義務が発生します。
<買主が法人の場合>
常に源泉徴収をする必要があります。
ポイントとしては、買主が個人の場合で居住用等の場合には源泉徴収義務の対象外となる可能性があります。
買主が法人の場合には、残念ながら常に源泉徴収義務がありますので、ご注意下さい。
最後に、買主に源泉徴収義務がある以上、当然ながら税務署は買主に対して納税を迫ってきます。
不動産売買時に売主から徴収し忘れてしまった場合には、後日売主から徴収して納めることになります。
この際に売主が素直に払わない場合には、訴訟問題にまで発展してしまう可能もありますので、不必要な紛争を避けるためにも、売主が非居住者の場合にはご注意頂ければと思います。
ご相談などはお気軽にご連絡下さい!
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
司法書士法人石川和司事務所
坂本 翔一郎