2019.06.04

再任の定義

こんにちは!司法書士法人石川和司事務所の町田です。

 

今日は、日々の登記業務で頻繁で登場する論点の1つなのですが、私自身が覚える度に忘れては書籍を繰って再度覚えてまた忘れるという事を繰り返すので、備忘のためにここに書かせてもらおうと思います。

 

まず、登記における「再任の定義」が持つ意味とは、商業登記規則61条7項にこう書いてあります。

 

設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項において「取締役等」という。)が就任を承諾したことを証する書面に記載した氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。

 

とても読みづらいので要約すると、

役員の就任登記には、住民票や運転免許証のコピーを添付しなさい。けど再任なら添付しなくてもいいよ。

と、書いてあります。

免許証のコピーで済むならそれでよいのでは?と思われるかと思いますが、我々としては、必要の無い書類の提出をお願いするのは、とても気が引けるのです。なので、その境目はできればはっきりさせておきたいのです。

 

それでは本題に入り、「再任」とは何でしょうか。

ものの辞書によると、

続けて同じ役職に任命されること。また、前に一度就いたことのある役職にもう一度就くこと。「助役に-される」

と、あります。

「続けて同じ役職に任命されること。」これは登記手続上で「重任」と呼ばれていまして、確実に「再任」に含まれます。

「前に一度就いたことのある役職にもう一度就くこと。」ここは少し場合分けが必要です。

重任との違いは、退任から就任の間の、時間的なギャップの有無ですが、そのギャップの間の事実によって、登記手続きに差が出ます。

① 退任したが、その退任登記をしておらず、再び就任した。

② 退任して、その退任登記を終えて、再び就任した。

③ 退任して、間髪入れずに別の役職(例:取締役→監査役)に就任した。

①と②の違いは、大した事では無さそうにも思えますが、就任登記を申請する際に、そのベースとなる登記簿に、同一人が有効な役員としてなお記載されている、という違いとなって現れるので、その手続きにも影響を与え得るのです。

③に至っては、前述のものの辞書の定義から外れてしまっていますが、登記手続き的にはこれも十分にあり得るようです。

 

論点の説明だけでだいぶ長くなってしまったので、一気に結論まで飛んでしまいますが、実は、①~③のどの場合も結論は出ていません。

ただ、結論が出ていない(確実ではない)ながらも、支配的な見解などというふわっとしたものがありまして、それによるとこうなります。

① OK(再任に該当する)

② 不明(登記官による)

③ 不明(登記官による)

おそらく、①のケースは他に特殊な事情がなければ、ほとんどの場合は再任で通るのではないかと思います。

②、③は本当にどちらとも言えません。

 

ここまで書き進めて、私がこの論点の結論を覚えられない理由がようやく分かりました。

そもそも、役所に対する定型的な手続きで、結論不明というのがあるのか(許されるのか)と思われる方もいるでしょうが、登記手続きに関しては、このような論点が山ほどあります。

では、そんな不明論点にぶつかってしまった場合、どうするのか。我々はどのように対応しているのか、次回かその次の機会にその辺りを書いてみようかと思います。

 

それでは!次回をお楽しみに!

 

司法書士法人石川和司事務所

町田昌範

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