2019.04.02

相続放棄の申出期限の数え方

こんにちは。

司法書士法人石川和司事務所の廣幡です。

 

元号が決まりましたね。「令和」。PCで「れいわ」と打っても、変換候補にはまだあがってこないですね。なじみのない言葉ですが、これにもきっと慣れていくのでしょう。

 

話は変わりますが、今回は、相続放棄についてご相談頂く中でよく聞かれる相続放棄の申出の期限について、書いてみたいと思います。

 

そもそも、相続放棄をする方は、どんな方でしょう。

その多くは、被相続人が残した遺産よりも債務のほうが明らかに多いため、その債務を負担したくない方、被相続人と疎遠で、自身の生活も安定しているので関わりたくない方等です。

 

相続放棄は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に相続放棄の申立てをして、申述が受理されるまでの手続きをとる必要があります。相続人が相続放棄をしたら、その相続人は相続人でなかったことになります。ただし、相続税の申告では、相続放棄した人も相続人としてカウントされるようです。

 

この家庭裁判所への相続放棄の申立ての期限は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」となっています。

ただ、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」というのは、「被相続人が死亡したとの事実」及び「これにより自己が法律上相続人となった事実」を知った時からです。

ですので、単純に死亡の日から3か月を過ぎていたからといって、相続放棄できないわけではありません。いつ、どういう状況で自分が相続人となったことを知ったか、をきちんと申述することで放棄の申述が可能になる場合もあるのです。

 

弁護士からの督促状で、何代も前の遠い親戚の山林の地代をその相続人として負っていることを知り、驚いてご相談にいらした方。

市役所からの督促状で、本来の相続人である子どもが相続放棄をしたために、自身が相続人となったことを知って慌ててご連絡をくださった被相続人のご兄弟の方。

第1順位の相続人から順に相続放棄していき、第2順位、第3順位の相続人まですべて弊所で受任した方。

上記の場合も、すべてスムーズに相続放棄の申立ては受理されました。

大事なのは、死亡したことを知ったことではなく、自身が相続人になったことを知った時がいつか、です。

 

上記のご相談者の中には、相続人となった方が認知症である場合もありました。

相続放棄をするには、意思能力が必要です。では、意思能力のない認知症の方は、いつ「知った」ことになるのでしょうか。

認知症の方の場合、自己が相続人となったことはおろか、被相続人の死亡さえ認知できないという事態が起こり得ます。

その場合は、認知症の方の後見人がいつ、その事実を知ったか、が起算日となります。

後見人がついていなかった場合、後見人が選任された日が起算日となりますし、もし、その後見人が親族後見人で次順位の相続人であった場合には、利益相反とみられ、直接後見人が申立てをすることができません。

その場合は、特別代理人を選任しなければなりませんが、そうすると、起算日はその特別代理人が選任された日となるわけです。

 

つい先日ようやく終わったレアな案件(後見人、特別代理人からの申立て)についても長々と書いてしまいましたが、このように、3か月の期限については、大丈夫な場合もありますので、何かご心配なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

司法書士法人石川和司事務所

廣幡悠子

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