2019.03.20

平成31年発行の登記済証

こんにちは。

司法書士法人石川和司事務所の西田です。

 

今回は新制度にとうの昔に移行したあともまだ残る、「ある制度」についてお話したいと思います。

 

不動産登記では、不動産を買ったりした際にいわゆる「権利証」が長年作成されてきましたが、2005年に不動産登記法が改正されそれまでの「登記済権利証」から「登記識別情報」に変更となり、目隠しシールで覆われた12桁の暗証番号に変わりました。

これにより、登記済権利証は原則発行されなくなりました。

 

ところが、この登記済権利証を未だに作成せざるを得ない事例に先日遭遇しました。

 

関東近県のとあるマンションの登記をするために事前準備で謄本を取ろうとしたら、オンラインで謄本が取れない不思議な土地に出くわしました。管轄法務局に確認すると電子化できなかった不動産なので、オンラインでの謄本は出せない、簿冊の謄本を管轄法務局に直接請求してくれとのことで、仕方なく郵送にて請求しました。

無事に取得して準備作業をしていると、ふと気になりました。

「電子化できなかった不動産をどうやってオンライン申請するのだろうか?」

改めて管轄法務局に確認すると、耳を疑うような返答がありました。

「その不動産はオンライン申請できません。直接出頭しての申請で、副本を併せて提出してください。それで登記済証を作成します。」

 

え・・・、このご時世でまさか登記済証を作成する?!

 

この登記識別情報は不動産情報が電子化されていることが前提になっている制度であり、何らかの理由で電子化されていない不動産だと登記識別情報を作成できない、とのことでした。

 

そこからは昔の記憶を頼りに申請書副本を作成し、管轄法務局に出頭申請し、無事に「平成31年の登記済証」が出来ました。

 

新制度に移行したあとも移行しきれなかった土地に対して、登記済証の制度が未だに残っている稀有な例かと思います。

 

登記の世界は奥が深いな、と感じた一件でした。

 

司法書士法人石川和司事務所

西田洋一

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