2013.11.05

遺産分割協議の前提としての特別代理人選任申立て

相続が発生して遺産分割協議をしなければならない時、遺産分割協議の相続人として当事者に未成年者がいる場合には、裁判所に対して特別代理人の選任申立てをし、裁判官に選任の審判をしてもらう必要があります。

通常未成年者が契約などの法律行為をするには、法定代理人である父母が子供に代わっておこないます。
遺産分割協議も法律行為にあたるため、未成年者本人の代わりにだれかが協議をしなくてはなりません。様々なケースによって次のように申立をすることとなります。

①協議の当事者である相続人:母・子供A(未成年者)

→未成年者Aにつき特別代理人1人の選任申立て

※この場合には、母は子供とこの相続の遺産分割協議においては利害が対立する関係にあるため、協議の代理人となってくれる人を裁判所に選任してもらい、母とその子供の特別代理人と二人で協議をすることとなります。

②協議の当事者である相続人:子供A(未成年者)・子供B(未成年者)

→未成年者Aにつき特別代理人1人の選任申立て(法定代理人の母あり)

※未成年者Aについては法定代理人(母等)が変わりに協議ができます。しかし、Aの代理人である母と未成年者Bとは利害が対立する関係にあるため、協議の代理人となってくれる人を裁判所に選任してもらい、母とBの特別代理人と二人で協議することとなります。

複数の被相続人についての複数の遺産分割協議をする場合もあると思います。当事者として重複する未成年者が複数人いて、特別代理人も複数人申し立てる必要がある場合には、特別代理人候補者は一部同じ人が両方の協議の代理人となっても問題はありません。だたし、法定代理人が協議の当事者となれる場合(母等)には法定代理人の方が優先されます(その未成年者については特別代理人の申立てはできません。)

特別代理人の候補者は、通常は協議の当事者以外の親族を裁判所に申し立てる場合が多いですが、心身共に健康で、未成年者本人の利益を考えて協議の当事者となれる人であれば、その候補者がそのまま特別代理人として選任される可能性が高いようです。

そして裁判所の審査では、申し立ての際に一緒に提出する遺産分割協議書案の内容が、未成年者本人にとって不利益の無いものでないかも重要な部分となります。もし、未成年者にとって不利益になると担当裁判官が判断すれば、選任審判までに協議の内容の再考を求められたり、選任審判がなされない可能性もあります。

申し立てから選任審判がなされるまでの間には、裁判所から申し立てに関する照会や質問事項が、申立人と特別代理人候補者に対して文書で届き、それについて書面で回答しなければなりません。そして審査のために必要と裁判官が判断すれば、追加書類の提出をもとめられることもあります。

審査期間は裁判所によって、また担当裁判官によっても、そして申し立ての状況によっても異なりますが、約一か月から一か月半くらいかかるケースが多いようです。

もし、このような特別代理人の申し立ての必要がある場合には、弊所では申し立てから選任審判に至るまで、手続きのサポートさせていただきますので是非ご相談くださいませ。

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