2019.05.15

道路事業にも家族信託

こんにちは、司法書士の坂野です。

家族信託を活用される方は、皆さま理由はそれぞれです。

そんな中でも、今回は道路事業について家族信託を活用できる事例をお話ししたいと思います。

 

Xさんは都内の土地建物を所有していました。

Xさんは高齢で、息子夫婦(Y息子)と同居していました。

さて、Xの土地について、役所の方から「ここは道路事業として一部用地を買収していきます」と話がありました。もちろんここで、Xさんがまだまだ元気であれば問題ありません。

しかし、Xさんはこれからいつ完了するかも見えない道路事業の手続きを行うことができるのでしょうか。

 

こんなとき、家族信託があります。

 

委託者X、受託者Yでの信託契約を行い、受益者はXさんです。

Yさんは、道路事業に必要な役所との折衝や、用地買収に必要な隣地境界線の確定、買収にかかる契約、補償金の受領と管理、その他もろもろについて、受託者の財産管理処分行為として自ら行うことが可能となります。

また、買収後に自宅を建て替える場合にも、受託者Yが自宅の設計施工について直接判断を下すことが可能となります。

実際にこちらと似た事例をいくつかサポートさせていただきましたが、やはり委託者Xさん所有のままでは手続きが頓挫していたのではないかと思います。

 

こちらの一連の手続きは、たくさんの論点がございます。(少し難しい話になります)

マイホームを売った時の特例は使えるのか。(税理士)

住宅用家屋証明書は取得できるのか、また建物と家屋証明は誰の名義か(土地家屋調査士)

上記の手続きが可能となる信託契約に作りこまれているか(司法書士)

 

信託は様々な専門家を巻き込みます。

専門家のみなさん、垣根を超えて、よりよいサービスを提供していきましょう。

 

ちなみに、少し専門的で余談ですが、このときの建物保存の登記は、「所有権保存及び信託」ではなく「所有権保存及び信託財産の処分による信託」となります。

所有権保存及び信託は、ほとんど携わる機会なさそうです。

 

司法書士法人石川和司事務所

坂野弘樹

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