2014.03.04

信託とは

いつもお世話になっております。
石川事務所の水島です。

近年信託法が改正されたあと、紙面などで信託が話題にのぼる回数が大きくなってきています。

「信託」とは、本人(委託者)が信頼できる人(受託者)に財産を移転し、その人の名で財産が管理処分される制度です。

形態としては、信託銀行や信託会社などの信託業法上の免許を持つ専門業者に報酬を支払って財産管理を任せるもののほか、専門業者ではなくとも家族などが財産の預かり手となる形態も注目されはじめてきています。さらに、そのなかでも特に「高齢者」や「障害者」そして「年少者」のための生活や福祉を確保される目的で設定される信託が「家族信託」と呼ばれています。

家族信託のメリットとしては、以下のことがあげられます。

1.遺言のなかで信託を利用すれば、通常の遺言でかなえられない内容の財産の承継方法を実現できる。

遺言書は、自分が希望する相手に財産を渡すことができる便利なものですが、本人の意思で何度でも書き直すことができ、もっとも日付の新しいものが有効となります。特に相続人間の関係が良好でない場合には、今の遺言が書き直されてしまうのではないかと不安になる方も多いと思います。
そこで、信託の内容のなかで変更するには相続全員の同意を要する等と定めておけば、本人が単独で内容を変更できないものとなります。

また、通常の相続のように相続開始と同時にすべての遺産を渡すのではなく、毎月定額を相続人の誰かに渡すとか、相続人が成人してから渡すとか、もしその相続人が亡くなったらその次の財産の貰い手を指定しておきたい、等々様々な方法が信託を利用することで可能となります。

つまり、遺言の中で遺産を信託財産として明記し、信託の内容として「誰に、いつ頃、何の目的のために、どのような方法で財産をあげるのか」を柔軟に指定することができるのです。

2.成年後見制度ではかなえられない、財産管理の本人のニーズに応えられる。

判断能力の不充分な高齢者等の財産管理の手段として利用される成年後見制度ですが、この制度を利用すると資産運用をしたり、生前贈与をするなどの行為が簡単にはできなくなります。
なぜなら成年後見制度は、本人の利益の為として財産を少しでも減らさないように財産を管理し、保全するのが目的だからです。

しかし本人の判断能力が低下した後でも、積極的な資産運用をしたいとか、相続税対策として生前贈与を継続しておきたいなどの思いもあると思います。
そこで成年後見人に財産管理をお願いする代わりに、判断能力がしっかりしているうちに契約で信頼できる人に財産を託して「信託」という法律行為を利用しておけば、判断能力が低下したあとでも本人の目的に沿った管理を実現することが可能となります。

せっかく現役時代に築き上げてきた財産であっても、自分の判断能力が衰えた後、そして死後、後に残った家族がどのように使ってくれるのか・・・自分の思いとはまったく異なる使われ方をしてしまったり、争いのもとになってしまったりするケースもあります(自分にはわかりませんが)。
信託は、内容を柔軟に決められる点で、他の財産管理の制度に比べて様々な人の思いをかなえられる制度だと思います。(以上の内容は、信託の利用方法の一部にすぎません。)

これからの制度として、是非検討されてみてはいかがでしょうか。

司法書士法人石川和司事務所
水島喜代子

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